脳梗塞で障害年金が受け取れる場合

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2022年01月13日

1 脳梗塞について

 脳梗塞とは、おおざっぱに言うと、脳内の血管が何らかの要因で詰まる等して血流がいきわたらなくなり、脳組織(細胞)の一部が死んでしまう病気のことです。
 重篤になれば死亡することもあり、早期の治療が必須とされています。

2 脳梗塞後の後遺症

 脳は、意識と生命を保つ重要な臓器です。

 しかし、脳を構成する脳細胞は、一度死滅してしまった場合、再生・増殖することは基本的にありません。

 そのため、脳梗塞は、治療によって窮地を脱して安定した後も、重篤な後遺症が残ることが少なくありません。

3 障害年金申請を見据えた脳梗塞後の対応

 脳は、部位によって、司る機能が異なるとされています(※ 完全には解明されていません)。
 そのため、脳梗塞が生じた場所によって、残る後遺症の内容も異なってくることから、どのような後遺症が残ってしまったかを、漏れなく、正確に把握することが何より重要です。

 視野障害や、体幹・四肢の麻痺については、本人もすぐに気づくことができます。

 しかし、高次脳機能障害(注意障害、記憶障害、遂行機能障害、性格変化等)については、当の本人は見逃すことが少なくありません。

 主治医も、脳梗塞前の本人の状態を知らなければ、見過ごしてしまう可能性があります。
 そのため、脳梗塞前の本人をよく知っている周囲の親族・友人が、変わったところがないかをチェックし、少しでも気になるところがあれば、本人及び主治医に伝達することが肝要です。

4 障害年金申請への流れ

 脳梗塞によって生じる後遺症の内容・程度に応じて、認定される障害年金は異なります。

 まずは、前述のように、どのような後遺症が残ったかを把握します。

 ただ、障害年金の対象となるのは、脳梗塞になってから1年半後の状態ですので、リハビリによって回復した場合は対象から外れます(もちろん、後遺症が残らないのが一番です)。

 そして、脳梗塞から1年半後、後遺症が残っており、かつ、一般に労働に影響を及ぼす程度であれば、主治医に申請用の診断書を書いてもらいます。

 その上で、その他必要書類を揃えて、実際に申請を行います。

 なお、厚生年金加入者は、障害等級3級と障害手当金の対象者にもなり、国民年金加入者より認定される範囲が広いことも押さえておきましょう。

PageTop