うつ病と障害年金3級

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2024年02月14日

1 うつ病は障害年金の対象です

 「うつ病は甘えだ」といった誤った認識を持っている方が一部いるため、うつ病が障害年金の対象外と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、うつ病は、その程度によっては障害年金の対象になります。

2 障害年金の3級

 障害年金でいう3級とは、障害の程度を表す指標です。

 障害の程度が重い順番に、1級、2級、3級と分類されています。

 3級については、初診日に厚生年金に加入していた人が対象なので、初診日に国民年金に加入していた方は、3級の認定を受けることができません。

3 3級の障害の程度

 障害年金の申請をする際は、障害の種類に応じて、使用する診断書が異なります。

 うつ病で障害年金の申請をする場合、診断書は精神の障害用の診断書を使います。

 国が定めている基準では、「精神の障害により、労働するのに著しい制限がある程度の障害」が、3級の条件であるとされています。

 よくある勘違いで、「就労している人は、障害年金を受給できない」というものがありますが、この基準に照らせば、それが誤った情報であることが分かります。

4 診断書の具体的な内容

 うつ病で使用する診断書では、「日常生活能力」という項目が重視されます。

 「日常生活能力」では、食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達および対人関係、身辺の安全保持および危機対応、社会性といった項目があります。

 これらの日常生活が、自発的にできているのか、周囲の助けが必要なのかといったことが審査されます。

5 医師に生活に症状を伝えるために

 障害年金の申請において、医師の診断書は大きな影響力を持ちます。

 そのため、医師に現状をしっかり伝え、お身体の状態を理解してもらうことが大切です。

 しかし、短い診察時間の中で、日常生活の細かい部分まで医師に伝え、理解してもらうことは、現実的には難しい場合もあります。

 そこで、上記の「日常生活能力」の項目について、事前にメモなどを作成し、医師に伝わりやすくなるような工夫が必要です。

PageTop