統合失調症で障害年金が受け取れる場合
1 統合失調症とは
統合失調症とは、思考や感情がまとまりづらくなる精神疾患です。
若い年齢で発症する場合が多く、精神疾患の中でも比較的発生する割合の大きい病気です。
発症してすぐは、幻覚や幻聴、妄想といった強い症状がみられることが多く、これを陽性症状といいます。
激しく興奮したり、通常では考えられない突飛な行動をすることもあります。
時間の経過とともに陽性症状は徐々に薄れていき、感情の平板化、無関心、意欲の低下等の症状が残ります。
これらを陰性症状、または残遺状態といい、長い間自宅や自室に閉じこもって生活をする場合もあります。
また、思考力や判断力の低下がみられる場合もあります。
症状は長い時間をかけて変化していくことが多いですが、回復して社会復帰できる場合もあります。
2 統合失調症の初診日
障害年金の申請では、障害の原因となった病気やケガで最初に医療機関の診察を受けた日を初診日といい、初診日がいつであるかによって、支給される年金の種類や金額が変わってくることがあります。
統合失調症の場合、それまで目立った症状がなく、突然妄想や幻覚に襲われて病院を受診する場合も多く、このような場合は、その病院を受診した日が初診日となります。
一方、統合失調症の前に神経症や不安障害等で受診している場合、あくまでケースバイケースではありますが、それらの症状で初めて受診した日が初診日となる場合が多いと考えられます。
3 統合失調症と障害年金の等級
幻覚や妄想が頻繁にある場合は、2級に認定される可能性があるでしょう。
幻覚や妄想がなくても、陰性症状により自宅に引きこもって生活していたり、一般的な就労が難しく就労継続支援事業所等に通っているといった場合も同様です。
幻覚や妄想が強く、日常生活もほとんどままならない場合には1級に認定される可能性があります。
一方で、服薬等により症状がある程度改善し、パートやアルバイト等の軽い労働なら可能である場合には、3級に認定される可能性があります。
4 専門家への相談
精神疾患は、症状を客観的な数字で表すことが難しいため、医師によって診断書の記載内容が変わることもあります。
また、日本年金機構による等級の認定も、このような症状なら何級というように定型的に判定することは困難です。
そのため、障害年金の申請にあたっては、専門家に相談した上で進めることをおすすめいたします。