フルタイムで仕事をしている場合の障害年金に関するQ&A

文責:代表 弁護士 西尾有司

最終更新日:2023年07月27日

フルタイムで仕事をしている場合の障害年金に関するQ&A

Qそもそも仕事をしている人は、障害年金をもらえないのではないですか?

A

 障害年金の受給要件の中に、仕事をしているかどうかという基準はないため、仕事をしている方でも障害年金をもらえる可能性があります。 

 ただし、3つの要件を満たしている必要があります。

 1つ目は初診日要件です。

 つまり、今の傷病について、初めて医師の診察を受けた日を特定できるかという問題です。

 2つ目は、保険料の納付要件です。

 原則として、初診日の時点で保険料納付の要件を満たしていないと、障害年金の申請はできません。

 3つ目は、障害の程度です。

 国が示している障害の程度に関する基準を、満たしているかどうかが審査されます。

Q仕事をしていることは、障害年金が受給できるかどうかに、何の影響もないのですか?

A

 障害の程度の要件で、考慮要素になります。

 例えば、精神系の疾患で、障害年金の申請をする場合、「その疾患によって、労働が著しく制限を受ける」という事情が必要になる場合があります。

 こういったケースですと、何の問題もなく就労できている場合、「労働が著しく制限を受けている状態」とはいえないと判断されてしまう可能性があります。

Qフルタイムで仕事をしていると、障害年金の受給は難しいですか?

A

 フルタイムで仕事をしていても、障害年金を受給できる場合があります。

 例えば、目の障害や耳の障害などは、検査による数値によって、障害の程度が判定されるため、就労ができているかどうかによって、障害年金の受給が左右されにくい傾向にあります。

 他方、例えば精神系の疾患などは、検査による客観的な数値の測定が難しい場合があります。

 その場合、「フルタイムで就労できているのだから、精神面での障害の程度は重くない」という認定がされやすくなってしまいます。

 他にも、神経系統の障害、呼吸器疾患による障害、心疾患による障害など、内科系の疾患については、検査による客観的な数値の測定が難しい場合があるため、フルタイムで就労できているという事実が、障害年金の審査を厳しくする要因になり得ます。

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